長野の秘湯とサウナ宿
長野県・高山村 山田温泉にある「梅の屋リゾート 松川館」のオーナーをしております涌井 貞朋(わくい さだとも)です。
私はもともと名古屋で会社を経営していましたが、祖父母が暮らしていたこの山田温泉の寂れゆく姿に胸が痛み、数年前、旅館の再生を決意しました。
当時の松川館は、お風呂もお部屋も老朽化が進み、正直に言えば「お客さまが泊まりたい」と思える状態ではありませんでした。
すべてスタンダードだったお部屋の中から、3階の一室を大胆にリノベーションし、プレミアムルームを誕生させました。
2019年には、地元の大工さんと力を合わせて森林露天風呂を新たに増設。
しかし、2020年からのコロナ禍で、山田温泉全体が“静まり返った温泉街”になってしまいました。
この状況に心を痛めながらも、「どうすればこの村を知ってもらえるのか?」「どうしたら、また足を運んでもらえるのか?」と、自分に問い続けました。
そして2021年。高山村の魅力を体感できる場として、天空のサウナをクラウドファンディングで実現しました。
その答えは、自分の原体験にあります。
祖父母の家があったこの高山村で、私は何度も友人たちと焚き火を囲み、語り合いました。学生時代は他愛もない話を、社会人になってからは仕事のことや将来の不安を。満点の星空の下、木々に囲まれた場所で焚き火を囲んだ時間は、今もかけがえのない宝物です。
サウナにも、それと同じ力があると思っています。火を囲み、汗を流し、深呼吸をすることで、不思議と本音が出てきてしまう場所。
松川館のサウナには、満点の星空の下で大切な人と語り合える場所があります。
私が松川館を運営する理由は、旅館業そのものというよりも、この高山村の自然や文化を、未来に繋ぎたいという想いが根底にあります。
ここには、
V字渓谷の絶景
樹齢200年を超える枝垂れ桜
滝の裏側に入れる「裏見の滝(雷滝)」といった、歴史と自然の物語があります。
また、800年の歴史を持つ山田温泉は、かつて湯治場として多くの人々を癒してきました。
さらに、地元のジビエや信州ワイン、シンプルながら贅沢なご飯など、食の魅力もたくさんあります。
「良いものを残したい」これは、何百年もこの地で旅館を営んできた先人たちの想いでもあります。
私もそのバトンを受け取り、少しでもこの村の魅力を未来に繋いでいきたいと思っています。
どうか、松川館でのひとときがあなたにとっての“宝物”になりますように。
高山村でお会いできるのを、心から楽しみにしています。